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東京地方裁判所 昭和62年(行ウ)111号 判決

原告 テレプランニングインターナショナル株式会社

被告 四谷税務署長

訴訟代理人 池本壽美子 時田敏彦 ほか三名

主文

一  本件訴えのうち、別表1の昭和五五年七月、九月、一〇月、昭和五六年六月、昭和五七年二月、五月、七月、八月及び昭和五八年八月分の被告のした源泉所得税の各納税告知処分及び各不納付加算税賦課決定処分の取消しを求める部分を却下する。

二  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一原告の請求

被告が昭和五八年一二月二四日付けでした別表1記載の内容の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分(ただし、別表2の昭和五六年九月分の処分のうちの順号欄02記載の金員の支払に関する部分、同年一二月分の処分のうちの順号欄03記載の金員の支払に関する部分及び昭和五八年一月分の処分を除く。)のうち、昭和五九年七月一〇日付けの異議決定処分により取り消された後の部分を取り消す。

第二事案の概要

本件は、海外で開催されるスポーツイベントの主催団体等である米国法人からテレビ放映権の許諾を受けて、この権利を日本国内の放送事業者に譲渡するという業務等を行っている原告が、右米国法人に対して支払った金員が日本国内源泉所得に当たるとしてされた被告の源泉所得税の納税告知処分等を不服として、その納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分の取消しを求めている事案である。

一  外国法人に対する国内源泉所得の課税について

1  所得税法(昭和六二年法律九六号による改正前のもの、以下「所得税法」という。)等の規定

(一) 所得税法五条四項は、「外国法人は、国内源泉所得のうち、一六一条二号から七号まで又は九号から一一号までに掲げるものの支払を受けるときは、この法律により、所得税を納める義務がある。」と定めており、同法一七八条によれば、同法一六一条七号に定める工業所有権等の「使用料又は対価」(以下「使用料等」ということがある。)については、当該使用料等の金額が課税標準とされている。

(二) 所得税法二一二条一項は、「外国法人に対し国内において一六一条二号から七号まで若しくは九号から一一号までに掲げる国内源泉所得(一八〇条一項の規定に該当するものを除く。)の支払をする者は、その支払の際、これらの国内源泉所得について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月一〇日までに、これを国に納付しなければならない。」旨を定めている。そして、右使用料等に係る所得税として源泉徴収すべき税額は、その支払金額に一〇〇分の二〇の税率を乗じて計算した金額であるとされている(同法二一三条一項)。

なお、国際的経済活動に伴って生ずる所得について、右のような所得税の課税を行うときは、日本国と外国との間での二重課税等を生ずることがあるので、そうした国際的二重課税の回避又は脱税の防止のために、日本国と外国との間で租税条約が締結されることがあるが、租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(以下「租税条約特例法」という。)三条によれば、租税条約において、適用税率が軽減されている場合には、当該支払を受ける者が、その支払をする者の所轄税務署長に対して、「租税条約に関する届出書」を提出することを条件として、当該条約に基づく軽減税率の適用を受けることができることとされている。

(三) 所得税法一六一条は、国内源泉所得として同条一号から一一号までの一一種の所得を掲げており、同条七号は、「国内において業務を行う者から受ける次に掲げる使用料又は対価で当該業務に係るもの」が、国内源泉所得である使用料等に該当するとして、次のとおり掲げている。

イ 工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものの使用料又はその譲渡による対価

ロ 著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価

ハ 機械、装置その他政令で定める用具の使用料

(四) 所得税法一六二条は、租税条約に異なる定めのある場合の国内源泉所得について、「租税条約において国内源泉所得につき一六一条の規定と異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける者については、同条の規定にかかわらず、国内源泉所得は、その異なる定めがある限りにおいて、その条約の定めるところによる。この場合において、その条約が一六一条二号から一一号までの規定に代わって国内源泉所得を定めているときは、この法律中これらの号に規定する事項に関する部分の適用については、その条約により国内源泉所得とされたものをもってこれに対応するこれらの号に掲げる国内源泉所得とみなす。」旨を定めている。

2  日米租税条約の規定

所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との条約(昭和四七年六月二三日条約第六号、以下「日米租税条約」という。)においては、米国法人等が日本国法人等から受ける使用料等に係る課税につき、次のように定められている。

(一) 米国の居住者が日本国内の源泉から取得する使用料に対しては、双方の締結国が租税を課することができる(一四条(1))。

(二) 米国の居住者が日本国内の源泉から取得する使用料に対し日本国が課する租税の率は一〇パーセントを超えないものとする(一四条(2))。

(三) この条において、「使用料」とは、次のものをいう(一四条(3))。

a 文学上、美術上若しくは学術上の著作物、映画フィルム若しくはラジオ放送用若しくはテレビジョン放送用のフィルム若しくはテープの著作権、特許権、意匠、模型、図面、秘密工程、秘密方式、商標権その他これらに類する財産若しくは権利、ノウハウ又は船舶若しくは航空機の使用又は使用の権利の対価としてのすべての種類の支払金

b aに掲げる財産又は権利(船舶又は航空機を除く。)の売却、交換その他の処分から生ずる収益で対価を得て行うそれらの処分によって実現するもののうち、その財産又は権利の生産性、使用又は処分に応ずる部分

二  当事者間に争いのない事実等

1  原告の放映権料等の支払

原告は、昭和五五年六月から同五八年六月までの間の別表2の「昭和年月分」欄記載の各月において、「順号」欄に対応する「支払金額」欄記載のとおりの各金員(いずれも円換算額であり、税引後の金額である。以下、右の「順号」欄記載の番号を「支払順号」といい、その支払順号に対応する支払金額を支払順号1ないし支払順号51の金員というように呼称する。)を、いずれも米国法人である米国ゴルフ協会(USGA)、米国テニス協会(USTA)、オーガスタナショナル社(ANI)、米国女子プロゴルフ協会(LPGA)、カリフォルニア大学ロサンゼルス分校(UCLA)、NBCインターナショナル社(NBCI)、トランスワールドインターナショナル社(TWI)、ABCスポーツ社及びワールドプロダクションエスタブリッシュメント(WPE)(以下、これらを一括して「本件外国法人」ということがあり、その表記については、右括弧書内の略称を用いることがある。)に対して、本件外国法人が主催する各種スポーツイベントを日本国内でテレビジョンによって放映するための対価等として支払った。

2  本件課税処分等の経緯

(一) 被告は、原告が前記のとおり本件外国法人に対して支払った金員が、いずれも所得税法一六一条七号ロ所定の国内源泉所得である著作権(著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料及び日米租税条約一四条(3)a所定の著作権その他これらに類する権利の使用の権利の対価に該当するものであるから、原告はその各支払の際の所得税の源泉徴収義務を負うものであるとして、昭和五八年一二月二四日付けで、別表1記載のとおり、税引前の各支払金額(別表2の「支払金額欄」記載の金額(ただし、支払順号22の二二二四万円の支払については、被告が桁を一桁誤り、二二二万四〇〇〇円が支払金額であるとして計算され、これに基づいて納税告知処分等がされたものである。)を〇・九(一から税率一〇〇分の一〇を引いたもの)で除したもの)に一〇〇分の一〇の税率(日米租税条約一四条(2)、租税条約特例法三条等)を乗じた金額を税額とした源泉徴収に係る所得税(以下「源泉所得税」といい、その税額を「源泉所得税額」という。)の各納税告知処分を行い、また、原告が右源泉所得税額を各法定納期限までに納付しなかったとして、右源泉所得税額(ただし、昭和五九年法律五号改正前の国税通則法一一八条三項により、一〇〇〇円未満の端数を切り捨てたもの)に一〇〇分の一〇を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税の各賦課決定処分(以下、右の各納税告知処分及び各賦課決定処分のうち、本件の訴えの対象となっていない別表2の昭和五六年九月分の処分のうちの支払順号02の支払に関する部分、同年一二月分の処分のうちの支払順号03の支払に関する部分及び昭和五八年一月分の処分を除いたものを、一括して「本件各処分」という。)を行った。

(二) 原告は、本件各処分を不服として、昭和五九年二月二四日に被告に対して異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。なお、原告は、同日、米国法人が作成した「租税条約に関する届出書」を被告に提出した。

被告は、同年七月一〇日付けで、別表2の「異議決定後の原処分額」欄記載のとおり、本件各処分の一部(昭和五五年一二月分に係る「順号」欄01記載の支払に関する処分)を取り消したものの、その余の処分についてはこれを維持する旨の異議決定を行った。

原告は、右異議決定後の本件各処分をなお不服として、昭和五九年八月一〇日に、国税不服審判所長に対して、審査請求を行った。

国税不服審判所長は、昭和六二年五月二一日、右審査請求を棄却する旨の裁決をし、その裁決書は同年六月九日に原告に送達された。

三  本件の争点

本件における争点及びこれに対する当事者双方の主張の要旨は、以下のとおりである。

1  本案前の争点(原告の異議申立ての対象となった処分の範囲及び不服申立前置について)

(一) 被告の主張

本件のような源泉徴収による所得税に係る納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分は、少なくとも、各支払月あるいは法定納期限ごとに別個の処分となると考えられるところ、別表2の「異議申立における取消請求額」欄に記載のとおり、本件各処分のうち、昭和五五年七月、九月、一〇月、昭和五六年六月、昭和五七年二月、五月、七月、八月及び昭和五八年八月支払分に係る処分(支払順号2、6、7、12ないし14、24、30、37、38及び49ないし51の各金員の支払に関する処分)については、原告は異議申立てを行っておらず、したがって、異議決定もなされていないから、本件訴えのうち、これらの各処分の取消しを求める部分は、いわゆる不服申立前置を要求している国税通則法一一五条一項の規定に違反する不適法なものであり、却下されるべきである。

(二) 原告の主張

原告の異議申立ては、本件各処分の全体についてなされたものであり、被告の異議決定も、原告の異議申立てをそのようなものとして扱っている。仮に、原告の異議申立ての趣旨及び理由に不備な点があったとしても、それは、被告の課税根拠の曖昧さによるものであり、被告は、審査請求手続における昭和六〇年七月八日付けの意見書で初めて、原告が本件外国法人に支払った金員が著作権の使用料に当たるとの課税根拠を明らかにしたのであり、それ以前においては、原告としては、被告の課税根拠を十分に正解できないまま、本件異議申立てに及ばざるを得なかったのである。

また、原告は、被告の異議決定後、本件各処分の全体に対して審査請求を行っており、国税不服審判所長もこれに応じて、別表2の「裁決後の原処分額」欄記載のとおり、実体審査を行った上で裁決を行っているから、このような場合には、異議申立てを経なくとも、本件各処分に対する取消請求の提起が許されるべきである。

2  本案の争点(原告が本件外国法人に支払った金員の性質)

(一) 被告の主張

(1) 本件金員の性格について

原告が本件外国法人に対して支払った金員は、本件外国法人等が主催する各種スポーツイベントを日本国内において放映することの許諾の対価として支払われたものであり、原告が本件外国法人と締結した各契約に従って、許諾された放映の形態に応じて分類すると以下のとおりとなる。

ア スポーツイベントに係る影像を収録したテレビ放映用のビデオテープ・フィルムの提供(ビデオテープ・フィルムから創出される送信信号を国際通信衛星により送受信するものを含む。)を受けて放映する権利の許諾に関して支払ったもの(支払順号3、4、6ないし8、15、16、18、19、21ないし23、30、37、38、44及び45の各金員)

イ 原告の選択により、ビデオテープの提供又は国際通信衛星による送受信(右受信した影像をビデオテープに録画することを含む場合がある。)のいずれかの方法により影像を取得し、これを放映する権利(ただし、原告の要請によりいずれか一方のほか、更に他方の方法により放映する権利を取得できる旨定められた場合もある。)の取得に関して支払ったもの(支払順号1、2、5、25ないし28、46及び47の各金員)

ウ ビデオテープの提供又は国際通信衛星による送受信のいずれか一方の方法により放映することができないときは、他方により放映する権利の取得に関して支払ったもの(支払順号9ないし14、17、20、24、29、31ないし36、39ないし41及び49ないし51の各金員)

エ 国際通信衛星による送受信により影像を取得し放映する権利の取得に関して支払ったもの(支払順号42、43及び48の各金員)

なお、原告は、本件外国法人に対して支払った金員の支払目的については、別表2の「支払目的」欄記載のとおりであると主張する。すなわち、支払順号2、6、12ないし14、18、24、25、27、29、31、33、35、37、39、42、44、46及び49ないし51の各金員については、各種スポーツイベントを日本国内において放映することの許諾の対価、いわゆる放映権料として支払ったものであることを争わず、支払順号1、3ないし5、9ないし11、15、17、19ないし23、26、28、32、34、36、40、41、43、45、47及び48の金員については、技術料あるいは技術相談料(以下「技術相談料等」という。)という人的役務の提供の対価として支払われたものであるとし、支払順号7、8、16、30及び38の金員については、ビデオテープ・フィルム、写真等その製作費原価を支払うことによって購入した購入代金であるとする。

しかしながら、原告が技術相談料等の人的役務の対価として支払った金員である旨主張するもののうち、支払順号4、15、19、21ないし23、26、28、43、45及び48の各金員については、その支払の根拠となる各放映権許諾契約において、原告が技術相談料等を支払うとの文言は何ら存在せず、単に放映許諾の対価が支払われることになっているにすぎない上、原告の支払もほぼ一体としてなされており、原告が技術相談料等を支払ったと認めるべき事情はないから、放映権料として支払われたというべきである。また、支払順号1、3、5、9ないし11、17、20、32、34、36、40、41及び47の各金員については、その根拠となる各放映権許諾契約において、放映権許諾の対価のうち一律五〇パーセントに相当する金額が、技術相談料又は技術顧問料として支払われる旨の約定が存在するが、右契約においては、技術相談料等に係る具体的役務提供の内容は全く明記されていないにもかかわらず、一律放映権料の五〇パーセント相当額とされており、同様に技術相談料等の約定のある他の契約の中には、過去に行われたスポーツイベントに係るフィルムに関する放映許諾も含まれているものもあることを考慮すると、技術相談料等は名目にすぎず、その実体はすべて放映権料として支払われたものといわざるを得ない。さらに、原告が、ビデオテープ・フィルム等の製作費ないし購入代金と主張するもののうち、支払順号7、8、及び16の各金員については、ビデオテープ・フィルム等を利用した放映許諾の対価であり、同30の金員は広告用写真の翻案許諾の対価であり、同38の金員は映画フィルム又はビデオテープの翻案許諾の対価である。

(2) いわゆる放映権料の本質

高度に商業化された社会においては、各種の催物を主催する主催者は、その催物について入場料収入をあげるとともに、各種メディアを利用して、最も一般的にはテレビ放映による報道を許し、その放映権料を得てより多くの収入をあげるが、そのような関係において、主催者は当該催物をいかなる者に放映させるか、また、その態様、条件を決するについては、絶対的な許諾の権利を有している。

そして、放映権なるものの内容は、原始的には、その催物の行われている会場において、主催者から権利を得た放送事業者及びその者から委託を受けた者がその場に立ち入り、テレビカメラを用いてテレビ放映に用いる画像を主催者の付けた条件に従って作製し、その影像をそれぞれが独自にテレビ放映するといったことを予定していたものと解される。しかしながら、放送事業者も多数となり、国際報道メディアも発達した社会においては、もはや、その催物の会場に多数の放送事業者が押しかけて、それぞれが自前の影像を作製するということは、主催者側にとっても、その制御が困難となり、放送事業者側にとっても、経費的にはなはだ不合理と感ぜられるようになった。そこで、代表取材に似た形として、まず主催者側が、一つの放送事業者をホスト・ブロードキャスターとして契約し、その者に良好な撮影・取材条件を提供して撮影させ、この催物を放映したい他の者は、主催者に放映権料を支払えば、ホスト・ブロードキャスターからその作製した画像を提供されるという形に変容してきた。放映権料を支払った者は、自己の放映用に都合の良いように、ホスト・ブロードキャスターに依頼して、その画像に更に希望する場面の画像を付加してもらうこともできるし、自己のための撮影者を会場に立ち入らせて付加すべき画像を作製することもできるが、これらの付加分のための費用自体は直接には放映権料には含まれておらず、別途ホスト・ブロードキャスターないし契約した撮影者に支払う必要がある。

このように、放映権料の内容は、かっての立入り料からホスト・ブロードキャスター作製の画像取得料に、その本質において基本的な変容を来しているといえ、本件のようなスポーツイベントにおいても同様であるということができる。

(3) 画像の運搬手段

右のホスト・ブロードキャスター製作の画像の提供の形態は、影像を収録したビデオテープ・フィルムの提供による場合と影像を国際通信衛星により送受信する場合の二方法があるが、これを放映するための放映権料は、いずれの方法による場合でも、後記(4)及び(5)のとおり、著作権若しくは著作権に準ずるもの又は著作隣接権に準ずるものの使用料に当たると解される。

(4) ビデオテープ・フィルムの提供によりテレビ放映をする権利の性質

ビデオテープ・フィルムは、我が国の著作権法上、映画の著作物に該当し、万国著作権条約二条一項、同条約の実施に伴う著作権の特例に関する法律三条二項、同条約四条四項aの要件を満たす(米国連邦著作権法一〇二条a(6))ので、著作権法六条三号をも充足する。すなわち、著作権法二条三項は、映画の著作物には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むとしており、また、本件のようなスポーツ競技を記録したビデオテープ・フィルムは、例えば、万引き監視のために店内に設置されたビデオカメラで撮影されたビデオテープ等のような単なる録画物とは異なり、カメラワークの工夫、モンタージュあるいはカット等の手法、フィルム編集など何らかの人間の知的な活動が加えられて、創作性がそこに加味されているといえるから、映画の著作物に該当するといえる。

もっとも、本件においては、ビデオテープ・フィルムの製作者である放送事業者(ホスト・ブロードキャスター)以外の各種スポーツイベントの主催団体等が原告との契約の相手方となっているが、これは放送事業者が映画の著作物を製作したことによって有する著作権の全部又は一部(少なくとも右著作物を用いて、その内容たる影像を放送することを許諾できる権利)が当該イベントの主催団体等に譲渡されていることによるものと考えられるのであり、この点が右の各支払金員が著作権の使用料に当たるとの判断の妨げとなるものではない。

(5) 国際通信衛星を利用して受信した影像を放映する権利の性質

ア ホスト・ブロードキャスター作製の画像(影像、衛星放送通信用信号)は、テレビカメラの撮影者などにより、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されており、前記(4)と同様、単なる事実の報道ではなく、創作物的な要素を備えている。

また、いわゆる固定性の要件については、影像の固定は、必ずしも事前に行われる必要はなく、影像を発信するのと同時にフィルムや磁気テープ等への収録が行われているような場合(いわゆる同時固定)でも足りると解されるところ、本件の契約においては、ビデオテープ・フィルムと衛星生中継が選択的な方法とされている場合が多く、また、送信元の放送事業者は、影像を国際通信衛星によって送信するに際しては、万一の衛星放送回線事故等に備えて、撮影した影像を送信すると同時にビデオテープに収録するのが常態であることからみれば、本件では、固定性の要件も満たしている。したがって、このような場合も、著作権の使用に該当するというべきである。

なお、この場合の契約の相手方がスポーツイベントの主催団体等になっていることが右のように解することの妨げにならないことは、前記(4)と同様である。

イ 仮に、右画像自体が映画の著作物に該当しないとしても、その使用は著作権に準ずる権利の使用に当たる。すなわち、画像が、視覚的にはビデオテープと類似の効果を有することは自明のことであり、本件の契約においても、ビデオテープ・フィルムの提供による場合と国際衛星通信回線を利用する生中継による場合とで、放映権料が変更されるものではなく、その使用は全く同等のものとされているのであるから、所得税法上は著作権に準じたものの使用として観念することができる。

ウ 本件における放映権料は、少なくとも所得税法一六一条七号ロの著作隣接権に準ずるものの使用の対価である。

現行著作権法は、その第四章において、著作隣接権について規定しており、放送事業者は、放送の複製権(九八条)、再放送・有線放送権(九九条)及びテレビジョン放送の伝達権(一〇〇条)という著作隣接権を有するとされている。

そして、本件における放映権料は、各種スポーツイベントを主催する本件外国法人が独占的権利として有する右スポーツイベントを一定期間日本国内においてテレビ放映することの許諾の対価であるところ、本件外国法人の独占的権利については、同法人がスポーツイベントの放送を許諾する地位にあるという点における放送事業者との類似性、その放送内容が放送事業者の有する著作隣接権の対象に含まれるという点における放送との同一性、スポーツイベントの放送を許諾するか否かに関する排他的権利であるという点における権利の同質性から、放送事業者の著作隣接権に類似しているというべきであり、また、放送事業者の著作隣接権との課税の公平の観点からみても、本件外国法人の有する独占的権利は放送事業者の著作隣接権に準ずるものというべきである。

仮にそうでないとしても、米国内のホスト・ブロードキャスターである放送事業者が有する国際通信衛星回線を通じて通信を受信してするテレビ放映を許諾する権利は、放送事業者の著作隣接権である再放送権に準ずる権利であり、各種スポーツイベントを主催する本件外国法人には、ホスト・ブロードキャスターから右権利が移転されているというべきである。すなわち、公衆向けに送信する放送用信号を受信して行うのが再放送であり、米国内の放送事業者が国際通信衛星回線を通じてテレビ放映用の通信信号を送り、直接これを受信して日本国内でテレビ放映することは、厳密には再放送には当たらないが、通信と放送の境界も曖昧になりつつある今日においては、放送事業者の放送の伝達手段が受動的な放送の受信か、能動的な通信によるかによって、所得税法一六一条七号ロの取扱いを異にすることは課税の公平の点から問題があるというべきであるから、著作隣接権に準ずる権利として後者の場合の対価も、著作隣接権に準ずる権利の使用料に該当するというべきである。

(二) 原告の主張

(1) 本件外国法人に対する原告の各支払は、各種スポーツ競技の放映権を取得する対価としてなされたものであり、放映権とは、文字どおり、当該競技を放映することができる権利、本来的には、原告が米国の各種スポーツイベント主催団体の主催するスポーツ競技の競技場に立ち入って、その競技の撮影とテレビ放映ができる権利であり、著作物としての競技の影像を使用することを目的とするものではないから、放映権料を著作権等の使用の対価とみることはできない。

現に、原告が放映権を取得した競技の中には、米国ではなく日本で開催されたものもあり(後記のマツダ・ジャパンクラシック、支払順号7及び8に関するUCLAフットボールのうちのミラージュ・ボウル、支払順号46及び47に関するNCAA(全米大学体育協会)バスケットボールの試合)、その国内への実況中継放送は、我が国の放送事業者によって行われたものであるし、放映権の対象となるスポーツ競技が米国で行われた場合であっても、現実にその競技を撮影したり、その影像を国際通信衛星によって送信したりする仕事は、米国の放送事業者によって行われたこともあるが、我が国の放送事業者によって行われたこともあったのである。

もともと原告は、本件外国法人から放映権を取得してこれを実行するという立場にあった者であるから、当該スポーツ競技の撮影や放映を行う立場にあり、その録画(映画)について、製作者としての原始的な著作者の立場に立つ者である。したがって、このような立場に立つ原告が、本件外国法人に対して映画の著作物の著作権等の使用の対価を支払ったとする被告主張は、全く実態に合致しない。

被告の主張は、右放映権料を映画の著作物の著作権の使用であるといい、あるいは、これに準ずるものの使用の対価、さらには、著作隣接権に準ずるものの使用の対価というなど極めて曖昧であり、課税の公平を持ち出すなどしてともかく課税されるというものであり、租税法律主義にも反するものである。

(2) 原告がテレビ放映用のビデオテープ・フィルムの提供を受けたことに関し本件外国法人に支払った金員も、その実態からすると、必ずしも被告の主張するような映画の著作物に関する著作権使用の対価ではない。

例えば、支払順号4あるいは8の各金員の支払の対象となったビデオテープは、実際に放送することを前提として買い入れたものではなく、他の放映権を取得する際に、これとセットでいわば付き合いとして購入したものである。また、支払順号6、15、19、21ないし23及び37の各金員の支払については、被告がその対象となったと主張するビデオテープが現実には放映されていないことからも明らかなように、この関係の契約はいったん白紙撤回され、右各金員の支払は、LPGA女子オープンゴルフトーナメント中のマツダ・ジャパンクラシックの実況放映権の取得のための対価として支払われたものであって、右契約中にビデオテープ購入に関する条項があったとしても、その部分は実体がないものである。

また、支払順号7、8、16、30及び38の各金員は、ビデオテープ・フィルム等を製作原価で購入した代金であって、著作物使用の対価ではない。

(3) さらに、原告が、本件外国法人に対して支払った金員の支払目的については、別表2の「支払目的」欄記載のとおりであり、原告が本件外国法人に対して支払った金員のうち、少なくとも、技術相談料等として支払った支払順号1、3ないし5、9ないし11、15、17、19ないし23、26、28、32、34、36、40、41、43、45、47及び48の各金員は、各スポーツ競技撮影の際の各競技主催団体による無形のサービス、助言、便宜供与等の人的役務の提供に対する対価として支払われたものであるから、所得税法一六一条掲記の国内源泉所得に当たるものではない。

第三争点に対する判断

一  争点1(本案前の争点)について

1  源泉徴収による所得税については、源泉徴収をすべきものとされている所得の支払の時にその納税義務が成立すると同時に納付すべき税額も確定するものとされており(国税通則法一五条二項二号、同条三項二号)、その法定納期限は右所得支払の日(所得税を徴収すべき日)の属する月の翌月一〇日とされている(所得税法二〇四条一項)。そうすると、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分は、少なくとも支払月あるいは法定納期限ごとに別個に行われる処分であり、また、これに関する不納付加算税賦課決定も、法定納期限ごとに別個に行われる処分と解すべきである。

そして、右のような性質をもつ本件各処分は、いずれも国税通則法七五条一項一号所定の処分に該当するから、その取消しを求める訴えを提起するためには、各処分についてそれぞれ異議申立てに関する決定及び審査請求に関する裁決を経る必要があり、これを経ないで提起された訴えは、不適法なものとして却下すべきこととなる(同法一一五条一項本文)。

2  ところで、本件各処分に対する不服申立て等の経緯は、前記の当事者間に争いのない事実に加えて、乙一号証(異議申立書)及び二号証(本件納税処分等の月別明細表)によれば、次のようなものであったことが認められる。

すなわち、原告は、昭和五九年二月二四日、被告に対して、被告が原告に対して昭和五八年一二月二四日付けでした源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分(源泉所得税額合計四二四九万五九六一円)及び各不納付加算税賦課決定処分(不納付加算税額合計四二四万八四〇〇円)のうち、源泉所得税額二五二五万九〇〇六円及び不納付加算税額二五二万五〇〇〇円をそれぞれ超える部分の取消しを求める異議申立てをし、右異議申立ての理由として、原告が本件外国法人に対して支払った金員には、放映権料のほか外国法人から提供される人的役務に対する対価である技術相談料等が含まれており、右の技術相談料等は、日米租税条約等に定める国内源泉所得に該当しないから、本件各処分のうち右技術相談料等に係る部分(源泉所得税額合計一七二三万六九五五円、不納付加算税額合計一七二万三四〇〇円にそれぞれ相当する部分)はいずれも取り消されるべきであると主張していた。このような主張を前提として、右異議申立書には、昭和五五年七月分(支払順号2)、同年九月分(支払順号6)、同年一〇月分(支払順号7)、同五六年六月分(支払順号12ないし14)、同五七年二月分(支払順号24)、同年五月分(支払順号30)、同年七月分(支払順号37)、同年八月分(支払順号38)及び同五八年八月分(支払順号49ないし51)の各支払に係る金員について、それが放映権料としてのみ支払われたものであり、技術費は含まれていないとの記載がなされていた。

右のような異議申立書の記載からすると、原告は少なくとも放映権料としてのみ支払われたとする各支払に関する処分、すなわち、本件各処分のうち、昭和五五年七月分、同年九月分、同年一〇月分、同五六年六月分、同五七年二月分、同年五月分、同年七月分、同年八月分及び同五八年八月分の各支払分に係る処分(支払順号2、6、7、12ないし14、24、30、37、38及び49ないし51の各金員の支払に関する処分)については、これを不服としてその取消しを求める異議申立てを行ってはおらず、したがってまた、これらの処分に対する異議決定もされていないものというべきことになるから、本件訴えのうち、右の各処分の取消しを求める部分は、不適法なものとして、却下を免れない。

3  この点について、原告は、前記異議申立てにおいては、原告は本件各処分の全体について異議申立てをしたものであり、被告のした異議決定も原告の申立てをそのような趣旨のものとして扱っていると主張する。しかし、前記のとおりの異議申立書の申立ての趣旨及び理由の記載からして、原告が本件各処分のうちその支払が技術相談料等に係るものであるとする部分に限ってその取消しを求めていたことは明らかなものというべきであるし、前記乙二号証及び甲二号証(異議決定書)によれば、被告の方でも原告の右異議申立ての趣旨をこのようなものと理解して決定を行っているものと認められるから、この点に関する原告の主張は失当である。

さらに、原告は、本件では、その後の審査請求に対して本件各処分の全体について審理した上で裁決がなされているから、このような場合には、たとえ異議申立てを経ていない部分があったとしても、本件各処分の全体に対する取消訴訟の提起が許されるべきであるとも主張する。しかし、右の異議申立ての対象とされていなかった処分に関する審査請求は、本来不適法なものであったといわざるを得ず、これに対して誤って実体審理がされ裁決がなされたとしても、それによってさかのぼってこの部分についても異議申立てがなされていたこととなるものではない。したがって、この点に関する原告の主張も失当である。

二  争点2(本案の争点)について

1  米国で行われる各種スポーツイベントのテレビ放映について

原告代表者本人尋問の結果、乙三七号証の一ないし五及び三八号証によれば、以下の事実が認められる。

一般に、本件におけるような米国で行われる各種スポーツイベントについては、世界各国でテレビ放映されることが多いが、その放映に際しては、各国の放送事業者が競技会場に立ち入って、それぞれテレビ放映用の影像を撮影すると、混乱が生じ、競技の進行にも支障を生じかねないので、ほとんど例外なく、ホスト・ブロードキャスターが指名され、ホスト・ブロードキャスターが中立的で公平な影像を製作し、これを国際影像として、各国の放送事業者に配信するという方法がとられている。国際影像の配信は、影像信号の送信による場合と影像を収録したビデオテープ・フィルムの提供による場合とがあり、国際影像の配信を受けた各国の放送事業者は、これに自国語のアナウンスや独自の影像を加えるなどして、各国でテレビ放映することになる。独自の影像の撮影方法は、自己の依頼した撮影者を競技会場に立ち入らせて影像を撮影する場合もあるが、ホスト・ブロードキャスターに依頼して、国際影像に更に付加して希望する影像を撮影してもらう場合もあり、これらの独自の影像の製作費用は、別途ホスト・ブロードキャスター等に支払うこととされている。また、国際影像に独自の影像を加えず、自国語のアナウンスを加えるだけのこともある。

テレビ放映されるようなスポーツ競技においては、地域別あるいは種目別に各種協会などの団体が作られており、これらの団体が各種スポーツイベントを主催する。これらの主催団体は、その主催するスポーツイベントをいかなる者に放映させるか、また、放映の態様、条件を決する絶対的な許諾の権限を有しており、ホスト・ブロードキャスターの指名は、右主催団体によって行われ、各国の放送事業者は、各国国内でテレビ放映するための放映権の交渉を主催団体ないしその代理店等と行うことになる。

2  原告と本件外国法人との契約について

そこで、前記一のとおり、その取消しを求める訴えが不適法となる各処分に係るものを除いた各金員の支払について、その根拠となった契約の内容についてみるに、前記争いのない事実に加え、証拠(原告代表者本人尋問の結果及び適宜掲記した各書証)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

(一) 支払順号1、5、9ないし11及び31ないし36の各金員の支払(USGAとの契約)

(1) 原告は、昭和五五年六月五日付けで、USGAとの間で、同年の全米女子オープンゴルフチャンピオンシップの放映に関する契約を締結した。右契約の骨子は、USGAは、原告に対し、日本国内において一定期間に限り、右競技の内容を独占的にテレビ放映する権利を許諾する(第一条、第二条)、原告は、プログラム・フィードの受信費用を負担するとの条件で右競技会を日本に衛星生中継する権利、また、ビデオ録画による放送の権利を有するものとする(第三条)、USGAは、原告の適当な通知に従って、プログラムの放映、特にプログラム・フィードの受信に関し原告に最大限の協力をするものとし、また、原告からの合理的な要請があった場合には、原告に対し、右競技会の録画ビデオテープ・フィルムを送付するものとする、USGAが特定のプログラムに関するフィード又はビデオテープ(フィードの入手が不可能で、かつ、原告がビデオテープを要請した場合)を供給できない場合のUSGAの義務は、この契約に基づいてUSGAが受領した全ての金員を原告に返還することに限定される(第四条)、原告は、USGAに対して、日本の租税を支払った後の手取り額として二万五〇〇〇米国ドル(以下「ドル」と略称する。)を支払うものとし、その五〇パーセントは放映権料とし、残り五〇パーセントは原告に提供される技術相談料とするものとされ、右支払はUSGAの頭書の住所(TWI気付)あての郵便送金により行う(第六条)、原告に対して本契約で特定して許諾していない権利については、すべてUSGAが留保する(第七条)というものである。(乙五号証)

なお、ここでいうフィードは、一般には影像を意味するが、契約中では、衛星中継のための影像信号を意味している場合もある(以下の契約についても同様である。)

原告は、右契約に基づき、USGAに対し、昭和五五年六月一八日、技術料名下に一万二五〇〇ドル(円換算額二七〇万七五〇〇円、支払順号1)を支払った。

(2) 原告は、昭和五五年六月五日付けで、USGAとの間で、同年の全米アマチュアゴルフチャンピオンシップの放映に関する契約を締結した。右契約の骨子は、原告が支払うべき金額を七五〇〇ドルとする以外は、右(1)の契約内容と同趣旨である。(乙六号証)

原告は、右契約に基づいて、USGAに対し、昭和五五年八月二八日、技術料名下に三七五〇ドル(円換算額八二万五一八七円、支払順号5)を支払った。

(3) 原告は、昭和五六年六月一七日付けで、同じくUSGAとの間で、昭和五六年及び昭和五七年の全米オープンゴルフチャンピオンシップ、全米女子オープンゴルフチャンピオンシップ及び全米男子アマチュアゴルフチャンピオンシップの各放映に関する契約を締結した。右契約の骨子は、以下の事項及び原告が支払うべき金額に関する以外は、右(1)の契約内容と概ね同趣旨である。すなわち、USGAは、原告の適当な通知に従って、プログラムの放映、特にプログラム・フィードの受信に関し、最大限の協力をする(第五条)、原告がプログラム・フィードを受信できない場合には、原告の要請により、USGAは、原告に対し、ビデオテープを送付するものとする(第六条)という部分が異なり、プログラム・フィードの受信ができない場合に補充的にビデオテープを送付することとされている以外は、右(1)の契約内容と概ね同趣旨である。(乙七号証)

原告は、右契約に基づいて、USGAに対し、次のとおりの金員を支払った。

支払日         金額(ただし、円換算額)

昭和五六年五月八日 二八九三万一八五〇円(支払順号9)

右同日        三三二万五五〇〇円(支払順号10)

右同日         九九万七六五〇円(支払順号11)

昭和五七年六月七日 三七五九万〇五二五円(支払順号31)

右同日       三七五九万〇五二五円(支払順号32)

右同日        四三二万〇七五〇円(支払順号33)

右同日        四三二万〇七五〇円(支払順号34)

右同日        一二九万六二二五円(支払順号35)

右同日        一二九万六二二五円(支払順号36)

(二) 支払順号3、17、20、29及び39ないし41の各金員の支払(USTAとの契約)

(1) 原告は、昭和五四年三月五日付けで、その所在地についてTWI気付とされている(以下の(2)の契約も同様である。)USTAとの間で、昭和五五年の全米オープンテニスチャンピオンシップの放映に関する契約を締結した。右契約の骨子は、USTAが原告に対し、日本国内において一定期間に限り、右競技の内容を独占的にテレビ放映する権利を許諾する(第一条)、原告は、プログラムの録画の原創作者からこれらの録画を取得する権利を有し、原告は、本契約に基づく権利行使に必要なすべての信号と録画を取得すべき責任を負担する(第二条)、USTAは、原告の要求と適当な通知に応じて、原告がプログラム・フィードを受信するのにできる限りの援助を与えるべく努力し(第三条)、原告は、USTAに対して、本契約で定める放映権料に加えて、本契約に基づき引き渡される録画の製作につき、USTAが要した雑費を支払うことに同意し(第四条)、原告は、USTAに対し、日本の租税をすべて支払った後の手取り額として六万ドルを支払うものとし、その五〇パーセントは放映権料とし、残り五〇パーセントは技術顧問料とする(第六条)、本契約中で明示的に原告に許諾されていないすべての権利は、USTAの財産とする(第七条)というものである。(乙八号証)

原告は、右契約に基づき、USTAに対し、昭和五五年八月一日、技術相談料名下に、三万ドル(円換算額六八七万九〇〇〇円、支払順号3)を支払った。

(2) 原告は、昭和五六年四月九日付けで、USTAとの間で、同年から昭和五八年までの各全米オープンテニスチャンピオンシップ及び全米女子室内テニスチャンピオンシップ並びに昭和五七年及び昭和五八年の各全米男子室内テニスチャンピオンシップの放映に関する契約を締結した。右契約の骨子は、本契約により許諾される権利の中にはいかなるイベントの映画フィルムに対する権利も含まれないものとし(第三条)、原告は、本契約対象のプログラムを衛星生中継で日本に放映する権利を有し、この場合、プログラム・フィードの受信に係る費用は原告が負担するものとし、原告は、更にプログラムをビデオテープ録画により放映する権利を有するものとし(第四条)、原告が何らかの理由でプログラム・フィードの受信ができない場合、USTAは、原告の要望に応じて、プログラムのビデオテープを原告に送付するものとする(第六条)こと及び原告が支払うべき金額に関する以外は、右(1)の契約内容と概ね同趣旨である。(乙九号証)

原告は、右契約に基づいて、USTAに対し、次のとおりの金員を支払った。

支払日         金額(ただし、円換算額)

昭和五六年八月六日  一二〇三万五〇〇〇円(支払順号17)

同年一〇月一五日     五七万三五〇〇円(支払順号20)

昭和五七年四月二二日   六〇万九一二五円(支払順号29)

同年九月一七日    一六四五万三一二五円(支払順号39)

右同日          六五万八一二一円(支払順号40)

同年一〇月二〇日     六七万三六二五円(支払順号41)

(三) 支払順号4の金員の支払(ANIとの契約)

原告は、昭和五五年四月一日、ANIとの間で、同社が著作権を保有するテレビ放送用映画「レングスンド・シャドウ・オブ・ア・マン」、マスターズ・ゴルフトーナメントの放送からの抜粋ビデオテープ・フィルム等を使用して、日本におけるテレビ放送用のプログラム(二次著作物)を製作する権利を原告が取得する旨の契約を締結し(乙一〇号証)、右契約に基づき、同年八月二七日、同社に対し、その対価として、二七四万六二五〇円(支払順号4)を支払った。

(四) 支払順号8の金員の支払(UCLAとの契約)

原告は、昭和五四年ころ、UCLAとの間で、昭和五五年のUCLAフットボールゲームの放映に関する契約を締結した。右契約の骨子は、UCLAは、原告に対し、一定期間、右競技(合計一一試合)を日本国内で独占的にテレビ放送することの許諾をする(前文、第一条ないし第四条)、UCLAは、原告が選択した各試合のビデオテープを提供する(第八条a)、原告は、許諾料として、各試合につき手取り額として一〇〇〇ドル(技術協力料五〇パーセント、放映権料五〇パーセント)を支払う(第九条)というものである。(乙一九号証)

原告は、右契約に基づき、昭和五五年一二月ころ、KTLAテレビジョン製作のUCLAフットボール七試合分のビデオテープを入手し、同月一五日、その対価として、ダビング料名下に、六一九三・七五ドル(円換算額一二九万七二八〇円、支払順号8)を支払った。(乙一九号証、二〇号証の一及び五)

なお、原告は、UCLAフットボールゲームのうちのミラージュ・ボウルは、日本国内において開催されている旨主張し、甲九号証の一によれば、昭和五五年一一月三〇日にUCLA対オレゴン州立大学の試合がミラージュ・ボウルとして日本国内で開催されており、乙一九号証に定める一一試合には、右試合が含まれていることが認められるが、前記認定のとおり、乙一九号証の契約はビデオテープの提供に関する契約であり、また、入手した七試合分のビデオテープに右試合が含まれていないことも考えられる以上、右事実をもって、支払順号8の金員が日本国内で開催された右試合の放映権料であるということはできない。

(五) 支払順号15、19及び21ないし23の各金員の支払(LPGAとの契約)

原告は、昭和五四年一〇月三〇日付けで、LPGAとの間で、昭和五五年から昭和五九年までのLPGAゴルフトーナメントの放映に関する契約を締結した。右契約の骨子は、LPGAは、原告に対し、LPGAが保有し、合衆国又は他の国で実際に放映されるすべてのLPGAの試合の日本国内における再放送権を独占的に許諾する、LPGAは、原告に対し、当該テレビ番組を収録したビデオテープ・フィルムを提供する、原告は、その対価として、昭和五五年分については一七万五〇〇〇ドル、昭和五六年から昭和五九年までの分については各二〇万ドルを支払う(第一条)というものである。(乙一一号証)

原告は、右契約に基づき、次のとおり、LPGAに対し、昭和五六年及び昭和五七年分の対価を技術料名下に支払った。

支払日          金額(ただし、円換算額)

(昭和五六年分)

昭和五六年七月二〇日  一一七二万七五〇〇円(支払順号15)

同年九月九日      一一六八万〇〇〇〇円(支払順号19)

(昭和五七年分)

昭和五六年一二月一一日  八九八万三一〇〇円(支払順号21)

昭和五七年一月八日   二二二四万〇〇〇〇円(支払順号22)

同年一月一三日      二〇〇万八八〇〇円(支払順号23)

これに対し、原告は、右LPGAゴルフトーナメントのテレビ番組が日本で放映された事実はなく、右の契約はその後白紙撤回されたものであって、右の各金員は、昭和五七年までの間に日本で開催されたマツダ・ジャパンクラシック・ゴルフトーナメントの放映権の取得に関して支払われたものであると主張しており、原告代表者本人尋問の結果中には、右主張にそう供述部分がある。しかし、前記の金員の支払時期等は、乙一一号証(契約書)に定められた右契約による対価の支払時期とおおむね符合している上、乙三一号証の一から四までによれば、右マツダ・ジャパンクラシック・ゴルフトーナメントの開催等については、昭和五五年六月三〇日に、原告、LPGAトーナメントプレイヤーズコーポレーション及び株式会社スポニチサービスセンターの三者間で、別途に契約書が取り交わされており、右契約によれば、右トーナメントのテレビ放映権は原告ではなく株式会社スポニチサービスセンターが取得するものとされ、同社が少なくとも五〇〇〇ドルをLPGAトーナメントプレイヤーズコーポレーションに支払うものとされていることが認められる。したがって、原告代表者本人の前記供述部分を採用することはできない。

(六) 支払順号16、25ないし28の各金員の支払(NBCIとの契約)

(1) 原告は、昭和五六年ころ、NBCIとの間で、NBCIが許諾権を有するローズボールゲームのテレビ番組フィルムによる日本での放映を許諾され、右フィルム購入の対価として、ローズボール番組フィルム製作費等名下に、同年七月二七日、一万一六三六・四〇ドル(円換算額二七二万四〇八一円、支払順号16)を支払った。(乙二〇号証の一及び六)

なお、原告は、金員の支払自体は認めるものの、右契約内容については、これを否認し、ローズボールゲームは、日本国内においては衛星生中継で放映されている旨主張し、甲一四号証の一及び甲一七号証の一によれば、一九八一年ローズボールは昭和五六年一月二日に、一九八二年ローズボールは昭和五七年一月二日に、それぞれ衛星中継により放送されていることが認められる。しかしながら、乙二〇号証の一には、原告に対する源泉所得税の調査を担当した担当官が、原告の経理担当者から、右金員がローズボールを撮影したフィルムの購入対価として支払われたものであるとの説明を受けたとする記載があること、原告の主張に係るローズボールゲームが右契約に基づくそれと同一のゲームであるかは必ずしも判然としない上、一九八二年ローズボールの衛星中継は、後記(2)の契約に基づくものと考えられるところ、原告が後記(2)の契約を締結する以前に、テレビ番組フィルムを購入することも考え得ること等に照らせば、原告の右主張は直ちには採用できない。

(2) 原告は、昭和五六年一〇月八日付けで、NBCIとの間で、昭和五七年のオレンジボールの放映に関する契約を締結した。右契約の骨子は、NBCIが原告に対し、日本国内において一定期間に限り、右競技をテレビ放映できる権利を許諾し、原告は、その対価として一万五〇〇〇ドルを支払うものとし、原告は、自らの負担において衛星送信を手配し、発注するものとされ、原告が選択すれば、NBCIは、原告に対し、NBCIの負担で録画した競技のビデオテープを提供するものというものである。(乙一三号証)

さらに、原告は、昭和五六年九月二四日付けで、NBCIとの間で、昭和五七年のローズボールの放映について、対価を五万五〇〇〇ドルとする以外は、右と同様の内容の契約を締結した。(乙一四号証)

原告は、昭和五七年四月二〇日、右各契約に基づき、その対価として、NBCIに対し、支払順号25ないし28の各金員(円換算額八五万二八三八円を二口、三一二万七〇七四円を二口、合計七九五万九八二五円)を支払った。

(七) 支払順号18の金員の支払(TWIとの契約)

原告は、昭和五六年一月一七日付けで、TWIとの間で、昭和五四年から昭和五六年までの全米オープンゴルフチャンピオンシップの放映に関する契約を締結した。右契約の骨子は、TWIは、原告に対し、右競技の内容を収録したプログラム・フィルムを一定期間日本国内で独占的に放映することを許諾する(第一条、第二条)、TWIは、原告に対し、右競技が行われた翌年の一月三一日まで、各競技のフィルムを送付する(第三条)、原告は、日本の租税を支払った後の手取り額として、昭和五四年の競技のフィルムにつき一〇〇〇ドル、昭和五五年及び五六年の各競技のフィルムにつきそれぞれ二〇〇〇ドル(いずれもその五〇パーセントは放映権料とし、残り五〇パーセントは技術相談料とする。)をTWIに支払う(第七条)、本契約で明示をもって原告に許諾されていないすべての権利については、TWIが保有する(第九条)というものである。(乙一二号証)

原告は、右契約に基づき、昭和五六年九月一日、同社に対し、昭和五六年分の対価として、二〇〇〇ドル(円換算額四六万三八〇〇円、支払順号18)を支払った。

(八) 支払順号42ないし45及び48の金員の支払(ABCスポーツ社との契約)

(1) 原告は、昭和五七年八月一二日付けで、ABCスポーツ社との間で、同年度の米ソ対抗陸上競技大会の放映に関する契約を締結した。右契約においては、ABCスポーツ社は、原告に対し、テレビ放映一回とする条件で、日本国内において一定期間に限り右競技を独占的に放映することを許諾し、ABC製作の右競技のビデオテープで約三五分間に編集された素材を提供し、原告は、ABCスポーツ社あてに、対価として公租公課を控除した後の手取り額として六〇〇〇ドルを支払うこととされている。(乙一八号証)

原告は、右契約に基づいて、昭和五八年四月六日、同社に対し、その後増額された九〇〇〇ドル(円換算額二一四万六五〇〇円、右金額は二口に分けられ、支払順号44及び45の各金員)を支払った。

これに対し、原告は、右乙一八号証の契約書上では右フィルムの使用許諾料が六〇〇〇ドルと定められているのに、現実に支払われた右の金員が九〇〇〇ドルに相当することからして、右契約書の写しをもって右金員の支払の根拠とすることには疑問があると主張する。しかし、乙二〇号証の一及び四によれば、原告の経理担当者自身が、右の金員が右ビデオテープ・フィルムの提供を受ける対価として支払われたものであり、許諾料の額は、契約締結をした後に変更されたものであると説明していることからすれば、原告が指摘する事実も、前記認定を左右するには足りないものというべきである。

(2) 原告は、昭和五八年二月一日付けで、ABCスポーツ社との間で、同年度のインディアナポリス五〇〇の放映に関する契約を締結した。右契約においては、ABCスポーツ社は、原告に対し、日本国内におけるテレビ放映一回とする条件で、「ABC制作一九八三年インディアナポリス五〇〇」に関する素材を提供し、原告は、ABCスポーツ社あてに、対価として公租公課を控除した後の手取り額として五万ドルを支払うこととされている。(乙一六号証の一)

なお、右契約において提供される素材については、乙一六号証の一からは明らかではないが、原告は、右放映権をその後株式会社東京放送に譲渡し、テレビ東京が昭和五八年五月二九日にインディ五〇〇衛星生中継を行ったこと(甲二一号証の一、二)からみて、右素材は、生のフィード、すなわち、影像信号であると推認される。

原告は、右契約に基づいて、その対価として、昭和五八年四月六日に三万ドル(円換算額七一五万五〇〇〇円、支払順号42及び43)を、同年六月一六日に二万ドル(円換算額四六九万五〇〇〇円、支払順号48)をそれぞれ支払った。

(3) 右(1)及び(2)の各契約に関しては、標準約款が取り交わされているところ、右約款においては、放映するプログラムの著作権の表示に関する規定があり、放映するプログラムの末尾に「ワイド・ワールド・オブ・スポーツ及びABCスポーツは、ABC株式会社の登録商標である。只今のプログラムの放映の著作権はABC株式会社の所有である。」との文言を付加することとされている。なお、ABC株式会社とABCスポーツ社との関係は、右各契約等からは必ずしも明らかではなく、ABCスポーツ社がABC株式会社の代理店として契約を行っている可能性もあるが、いずれにしても、ABCスポーツ社が、右各契約において提供される素材の著作権使用の許諾の権限を有しているものと考えられる。

(九) 支払順号46及び47の各金員の支払(WPEとの契約)

原告は、昭和五六年一〇月八日付けで、TWIの関与の下、WPEとの間で、昭和五七年から昭和五九年までのNCAAディビジョンIチャンピオンシップバスケットボールシリーズの中の準決勝、決勝を含む一一試合の放映に関する契約を締結した。右契約の骨子は、WPEは、原告に対し、右競技について一定期間に限り、日本国内において独占的にテレビ放映等をすることを許諾する(第二条a)、WPEは、原告に対し、右各試合につき各一本の右試合を録画したビデオテープ・フィルムを各試合が終わり次第引き渡すべきものとする(第三条a)、原告がWPEに対し各試合の三〇日以前に通知すれば、原告は、右試合の衛星中継による放映を行う権利をもつこととなり、この場合、WPEは、原告のために国際通信影像の受信ができるよう取り計らうこととし、原告の方では追加の放映権料を支払う義務はなく、また、WPEは、この試合についてはビデオテープ・フィルムを提供する義務はないこととなる(第三条b)、原告は、WPEに対し、対価として、昭和五七年分の競技については四万五〇〇〇ドル(技術仲介料二万五〇〇〇ドル、放映権料二万五〇〇〇ドル)、昭和五八年分の競技については五万五〇〇〇ドル(技術仲介料三万七五〇〇ドル、放映権料三万七五〇〇ドル)、昭和五九年分の競技については六万五〇〇〇ドル(技術仲介料三万二五〇〇ドル、放映権料三万二五〇〇ドル)を支払うもの(第四条)とされている。(乙一五号証)

原告は、右契約に基づいて、昭和五八年五月二四日、WPEに対して、五万五〇〇〇ドル(円換算額一二九六万〇七五〇円、支払順号46及び47)を支払った。

なお、原告は、NCAAバスケットボールの試合には日本国内で開催されたものもある旨主張し、甲一〇号証の一ないし三及び二二号証の一ないし五によれば、昭和五五年の二月二一日ころ及び昭和五八年一二月一五日ころに、NCAAバスケットボール公式戦が日本国内で開催されていることが認められる。しかしながら、支払順号46及び47の金員は、昭和五八年分の競技について支払われたものであり、乙二九号証並びに三五号証の一及び二によれば、原告は、昭和五八年四月一一日、日本放送協会との間で、同月二日及び四日に米国で行われた全米大学バスケットボール選手権の放映権を六万五五五ドルで同社に譲渡する旨の契約を締結し、同社は、同月一七日に現にこれをテレビ放映していることが認められ、これらの点に照らすと、支払順号46及び47の各金員が日本で開催された試合の放映権取得の対価であるということはできない。

(一〇) 原告は、以上の各契約に基づいて、取得した各放映権の多くについては、全国朝日放送株式会社、日本放送協会、株式会社東京放送、株式会社毎日放送、日本テレビ放送網株式会社等の日本国内の放送事業者にそれぞれ譲渡した。日本国内の放送事業者との契約においては、いずれも、日本国内向けの放送を行うための製作実費や日本語版のビデオテープの製作等につき、日本国内の放送事業者がその費用を負担することとされている。(乙二一ないし三〇号証)

以上の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

3  本件各契約の類型について

(一) 原告が本件外国法人と締結した各契約について前記認定した事実に従って、原告が本件外国法人に支払った金員の性質についてみると、概ね支払順号4、8、15、16、18、19、21ないし23、44及び45の各金員の支払は、本件外国法人からビデオテープ・フィルムの提供を受けて、これにより日本国内でテレビ放映する権利の取得に関してなされたもの(なお、支払順号4の金員の支払は、編集済みのテレビ番組やビデオテープを使用して二次著作物を製作して放映する権利の取得に関するものである。)、支払順号1、3、5、25ないし28、46及び47の各金員の支払は、ビデオテープの提供によるか国際通信衛星による送受信の方法によるかを原告が選択した上、日本国内でテレビ放映する権利の取得に関してなされたもの(なお、支払順号1及び5の金員に係るUSGAとの契約においては、USGAの賠償義務を限定する条項中に、ビデオテープの送付ができなかった場合の賠償義務が問題となるのは、フィードが受信できず、かつ、原告がビデオテープを要求した場合に限定されるような表現があり、フィードの受信を原則とした契約とも考えられないではないが、規定上、フィードの受信ができないことが、原告がビデオテープを要求できる直接の要件とはされていないので、この類型に分類する。また、支払順号3の金員に係る契約においては、契約の文言上からどの類型に該当するかは必ずしも明らかではなく、原告の権利については録画の取得及び引渡しという文言が使われているが、一方で、信号の取得という文言も使われ、原告の要求と適当な通知に応じて、原告がプログラム・フィードを受信するのにできる限りの援助を与えるべく努力するという条項があることから、ビデオテープの提供を原則とするが、国際通信衛星による送受信の方法も原告が選択できる契約とも考えられるので、この類型に分類する。)、支払順号9ないし11、17、20、29、31ないし36、39ないし41の各金員の支払は、国際通信衛星による送受信の方法によることができないときは、ビデオテープを提供することにより、日本国内でテレビ放映する権利の取得に関してなされたもの、支払順号42、43及び48の各金員の支払は、国際通信衛星による送受信の方法により、日本国内でテレビ放映する権利の取得に関してなされたものということができる。

そして、右各金員の支払は、ホスト・ブロードキャスターが製作した影像の提供手段としては、ビデオテープ・フィルムの提供による場合と国際通信衛星を利用した影像信号の送受信の方法による場合とがあるが、いずれにしても各種スポーツイベントの放映権料として、すなわち、これらの競技の影像の提供を受けて日本国内で放映する権利の取得に関して行われたものということができる。

(二) 原告は、ビデオテープ・フィルムの提供を受ける契約に関して、右ビデオテープ・フィルムの中には、実際に放送することを前提として買い入れたものでなく、他の放映権とセットの形で、いわば付き合いとして購入したにすぎないものが含まれており、したがって、右金員は必ずしも放映権料とはいえないものであると主張するが、原告主張の右のような事情は、単に右ビデオテープ・フィルム等の購入の動機又は契機にすぎないものというべきであり、右のような事情があるからといって、右金員の放映権料としての性質等が何らかの影響を受けるものでないことはいうまでもないところである。また、原告が支払順号4に係るテレビ放送用映画のビデオテープ・フィルムのテレビ放映権を日本国内の放送会社に譲渡していることは、原告もこれを認めているところであり、このことからしても、原告の右の主張に理由のないことは明らかである。

(三) また、原告は、支払順号1、3ないし5、9ないし11、15、17、19ないし23、26、28、32、34、36、40、41、43、45、47及び48の各金員は、技術相談料等として、各スポーツ競技撮影の際の主催団体による無形のサービス、便宜供与等の人的役務の提供の対価として支払われたものである旨主張する。

しかしながら、原告が技術相談料等の人的役務の対価として支払った金員である旨主張するもののうち、支払順号4、15、19、21ないし23、26、28、43、45及び48の各金員については、前記認定のとおり、その根拠となる各放映権許諾契約において、原告が技術相談料等を支払うとの文言は何ら存在せず、単に放映許諾の対価が支払われることになっている上、原告の支払もほぼ一体としてなされており、原告が技術相談料等を支払ったと認めるべき事情はない(とりわけ、支払順号4の金員の支払については、既製のテレビ番組やビデオテープを使用して二次著作物を製作することに関する契約に基づくものであり、その画像は既に完成しているから、契約先の米国法人による技術指導のようなものが発生する余地がないことは明らかである。)。また、支払順号1、3、5、9ないし11、17、20、32、34、36、40、41及び47の各金員については、前記認定のとおり、その根拠となる各放映権許諾契約において、放映権許諾の対価のうち一律五〇パーセントに相当する金額が、技術相談料又は技術顧問料として支払われる旨の約定が存在するが、右契約においては、技術相談料等に係る具体的役務提供の内容は全く明記されていないにもかかわらず、一律放映権料の五〇パーセント相当額とされているところ、仮に、原告が主催団体である本件外国法人から何らかの便宜供与を受けたことがあるとしても、その対価として五〇パーセント相当額もの支払がなされるとは到底考えられず、右技術相談料等についての契約内容と原告が受けた便宜との間に合理的関連性があるとは認められない。また、右技術相談料等の約定のある契約は、前記のとおり、USGA、USTA、TWI及びWPEとの間におけるものであり、いずれもTWI自らが、あるいはTWIが関与して締結されたものであるが、前記2(七)のTWIとの契約(支払順号18に関するもの)においては、過去に行われた競技のフィルムの放映に関するものが含まれており、既に製作済みのフィルムの放映に関しては、競技撮影の際の便宜供与ということは通常考えられないにもかかわらず、他の契約と同様に五〇パーセントに相当する金額が技術相談料として支払われる旨の約定があることに照らせば、むしろ、右各契約における技術相談料等は名目にすぎず、実質的にはすべて放映権料として支払われたものと解さざるを得ない。

なお、原告代表者本人尋問の結果中には、日本国内向けの独自の影像を作ってもらうための対価である旨の供述部分があるが、日本国内向けの独自の影像の製作費用は、別途ホスト・ブロードキャスター等に支払っているものであることは前記認定のとおりであり、右技術相談料等がそのような役務提供の対価であるということはできない。

(四) 以上のとおり、前記各金員の支払は、スポーツ競技の影像の提供を受けて放映する対価として行われたものといえるが、そうした対価が、所得税法一六一条七号ロに定める著作権(著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用の対価といえるかについて、以下、検討する。

4  スポーツ競技を収録したビデオテープ・フィルム又はテレビの生放送のための影像の「映画の著作物」該当性

(一) 著作権法二条三項は、映画の著作物について、「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むもの」としており、いわゆる劇場用映画以外のもので、映画の著作物に当たるというためには、第一に、内容的に著作物の通有性である知的創作性を備えていることを要し、第二に、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されていることを要し、第三に、物に固定されていることを要するというべきである。

そして、ビデオテープ・フィルムはもちろん、生放送のための影像も、それが影像という手法による表現であることは明らかであり、第二の要件を満たしているということができるから、以下、第一及び第三の要件を満たしているか否かについて検討する。

(二) まず、本件におけるスポーツ競技の影像が知的創作性を備えているか否かについて検討する。

一般に、カメラワーク等を全く用いることなく、事実経過のみを撮影したような影像、例えば、防犯ビデオや河川の増水量を記録するためのいわゆるインダストリアル・テレビのようにカメラを備えつけて、何の工夫もなく、淡々と事実のみが記録されたようなものは、単なる録画物にすぎず、その影像が知的創作性を備えているとはいえないところである。しかしながら、本件におけるようなテレビ放映用のスポーツイベントの競技内容の影像は、競技そのものを漫然と事実経過として撮影したものではなく、スポーツ競技の影像を効果的に表現するために、カメラワークの工夫、モンタージュあるいはカット等の手法、フィルム編集等の何らかの知的な活動が行われ、創作性がそこに加味されているということができるから、本件におけるスポーツ競技の影像は第一の要件を満たしているということができる。

(三) 次に、固定性の要件についてみるに、ビデオテープ・フィルムについては、固定性の要件を満たすことは明らかであり、また、テレビの生放送についても、その影像が生中継と同時に録画されているような場合には、固定性の要件を満たし、著作物性を有するというべきである。すなわち、一般に著作物とは思想又は感情を創作的に表現した無体物をいうものである(著作権法二条一項一号)ところ、生中継の影像が録画されているような場合には、録画された物自体ではなく、創作的な表現である影像それ自体が固定されることによって著作物となると解するのが著作権法全体の趣旨や同法二条三項の文言にも合致するというべきであり、この理は、生中継の影像が生中継と同時に録画されるいわゆる同時固定による場合であっても同様であると解すべきである(なお、固定性の要件については、米国においても同様に解されており、創作行為と同時に収録される場合には、この要件は充足され、創作と同時に著作権法による保護が与えられるものとされている。米国連邦著作権法一〇一条等参照。)。

そして、本件については、前記認定のとおり、衛星生中継による影像の提供とビデオテープ・フィルムの提供とが選択的な方法とされている場合が多く、また、乙三七号証の一ないし五によれば、いわゆるホスト・ブロードキャスターが国際通信衛星を利用して生の影像信号の送信をする場合においては、万一の衛星放送回線の事故等に備えて、ホスト・ブロードキャスターとしては送信と同時にビデオテープ等に収録しているのが常態であると認められるから、本件における生放送のための影像も固定性の要件が満たされているというべきである。

(四) 以上のとおりであるから、本件におけるスポーツ競技を収録したビデオテープ・フィルム又は生放送のための影像は、いずれも「映画の著作物」に該当するということができる。

5  いわゆる放映権料の著作権使用料該当性

そこで、原告が放映権料として支払った金員が、右映画の著作物の使用の対価として支払われたものであるか否かについて検討する。

(一) まず、原告との契約の相手方である本件外国法人が、その著作物の使用に関して許諾を与え得る権利を有しているか否かについて検討する。

前記認定のとおり、支払順号4の支払については、契約の相手方であるANIが基礎作品であるビデオテープ・フィルムの著作権を有しており、ANIが原告に対し、この基礎作品を使用して二次著作物であるテレビ・プログラムを製作する翻案権の許諾をするものであることは、契約書において明記されており、その対価として支払われた金員が著作権の使用料であることは明らかである。

また、前記認定のとおり、支払順号42ないし45及び48の支払については、その根拠となる契約(標準約款を含む。)において、ABC株式会社の著作権を表示する旨の規定があり、契約の相手方であるABCスポーツ社が著作物の使用に関して許諾を与え得る権限を有していることは明らかである。

その余の契約においては、契約書上著作権について明記した文言はないところ、ホスト・ブロードキャスター等の放送事業者が、その製作したビデオテープ・フィルム及び生放送用の影像(国際影像)についての第一次的な著作権の帰属者であることは明らかであるから、本件外国法人が、その著作物の使用に関して許諾を与え得る権利を有しているかどうかが問題となる。

ところで、著作権は、当然にその全部又は一部を譲渡することができるのであり、ビデオテープ・フィルム及び国際影像の著作権は、第一次的にはその原製作者であるホスト・ブロードキャスター等の放送事業者に帰属するとしても、これが、各種スポーツイベントの主催団体等である本件外国法人に事前又は事後に譲渡されていることが考えられる。

主催団体とホスト・ブロードキャスター間の右の点に関する契約関係は必ずしも明らかではないが、前記認定のとおり、スポーツイベントの主催団体は、当該競技を誰に放映させるか、その放映の態様、条件等について絶対的な許諾の権限を有しており、ホスト・ブロードキャスターを指名して、国際影像を製作させるのが通常であり、その国際影像の配信を受けて放映することの許諾に関しては、専ら主催団体及びその代理店等と交渉されていること、原告と本件外国法人との契約においては、前記認定のとおり、主催団体等である本件外国法人がビデオテープ・フィルムを送付する義務、あるいは、生中継のための影像信号の受信に関し最大限の協力を行う等何らかの義務を負っており、前記2(一)のUSGAとの各契約においては、USGAが影像信号又はビデオテープを原告に供給できないときは、契約金全額を原告に返還する義務を負うことが明文で規定されていること、LPGAのトーナメント・スポンサーズ・マニュアルのブロードキャスティングコントラクツの項においては、テレビ、ラジオ放送に関するすべての権利はLPGAに帰属するものとされており、さらに、スポンサーは、LPGA主催の競技が放送された場合には、当該放送を収録したテープのコピーをLPGAに提出することに同意することとされており、マツダ・ジャパンクラシックに関するLPGAと株式会社スポニチセンターとの契約においては、「テレビ、ラジオ放送並びに映画作成、展示のすべての権利及びトーナメントのすべてのその他の付随的権利はLPGAの所有物であり、LPGAが留保する。株式会社スポニチセンターは、LPGAが米国内又は日本以外の他の場所でトーナメントを放送するのに使用するため、日本における各トーナメント放送のビデオテープを無償でLPGAに提供することに同意する。」旨の規定が設けられていること(乙三一号証の一、五ないし七)、放送関係者においては、主催団体は、国際影像の製作をホスト・ブロードキャスターに委託し、ホスト・ブロードキャスターが製作した国際影像に関する権利一切は、主催団体に帰属するものと認識されており(乙三七号証の一ないし五)、原告自身も、そのように認識していること(原告代表者本人尋問の結果)等に照らせば、第一次的には、ホスト・ブロードキャスター等の放送事業者に帰属するビデオテープ・フィルム及び国際影像の著作権の全部又は一部、少なくとも、その著作物を用いて、その内容である影像を国外において放映することを許諾できる権利が、主催団体に移転しているものと推認することができ、また、原告の本件各金員の支払もそのような権利が主催団体に帰属するとの認識の下になされていることが認められる。

(二) 原告は、放映権とは、各種スポーツイベントの競技会場に自ら立ち入って当該競技を撮影してテレビ放映できる権利であり、競技の影像の使用を本来の目的とするものではないから、放映権料を著作権の使用の対価とみることはできない旨主張する。

なるほど、放映権料には、競技の撮影の態様によっては、原告の主張するような競技会場へ立ち入りの対価としての部分を含む場合もあり得るものと考えられる。

しかしながら、ホスト・ブロードキャスターが、代表して競技会場において国際影像の撮影を行う本件のような場合においては、放映権料のうちのそのような競技会場への立ち入りの対価として性質は、ホスト・ブロードキャスターの製作した影像の取得の対価へとその本質的な内容が変容しているものというべきである。すなわち、少なくとも、国際影像等が収録されたビデオテープ等の提供を受けてこれを日本国内でテレビ放映するような場合においては、原告あるいは原告から放映権の譲渡を受けた日本国内の放送事業者が協議会場内へ立ち入ることは通常考え難く、放映権料が専ら競技会場への立ち入りの対価として支払われているとは考えられないというべきである。

また、影像信号の送受信による影像の取得をする場合においても、影像信号の送受信という方法は、ビデオテープ等の提供を受けるのと同様、影像の取得手段の一つにすぎず(ビデオテープ等の提供と国際通信衛星を利用した影像信号の送受信を選択できる契約があり、それらの契約においては、ビデオテープの提供によると影像信号の送受信とによるとで特にその対価が異なるようなことがないことは、前記認定のとおりである。)、その本質とするところは、国際影像の取得という点にあるとみることができる。そして、そのような場合においては、日本国内におけるテレビ放映は、専らホスト・ブロードキャスターの製作した影像を取得し、これを使用してテレビ放映することを中心として行われているのであって、放映権料は、右影像を取得して放映する対価、すなわち、単なるカメラワーク等による創作性に対する対価のみならず、放映の許諾の対価を実質的に含んで製作されている映画の著作物の使用許諾の対価として支払われているとみることができるというべきである。もとより、日本国内におけるテレビ放映においては、国際影像がそのまま放映されるわけではなく、日本語のアナウンスや日本向けの独自の影像が追加されることが多く、そのために、競技会場内に日本国内の放送事業者等が立ち入ることもあるが、そうした立ち入りが行われない場合もあることは前記認定のとおりであり、また、独自の影像等の製作費自体は、別途ホスト・ブロードキャスター等に支払われ、あるいは、日本国内の放送事業者が負担するなどするものであり、放映権料には含まれていないことに照らしても、ホスト・ブロードキャスターが代表して国際影像を製作する本件のような場合においては、そうした立ち入りのための権限の取得自体は、放映権の取得にとってもはや本質的な部分ではないというべきである。

なお、原告は、放映権料には、影像の使用料のほかに、日本国内向けの番組にするための独自の影像を製作し、国際影像を自由に編集することや、日本語のアナウンスを付けることの許諾料も含まれているところ、右許諾料は著作権等の使用の対価ではない旨主張するが、そうした許諾は、ホスト・ブロードキャスター製作の影像の使用によるテレビ放映の許諾という契約目的に付随するものであり、その対価の支払も一体のものとしてなされているから、放映権料全体が著作権の使用許諾の対価であるということができる。

(三) また、原告は、放映権料を著作権等の使用料と解する根拠は曖昧であり、そのような曖昧な根拠のもとに課税処分を行うことは、租税法律主義に反する旨主張する。確かに、租税法律主義の趣旨に照らせば、課税根拠を定める法令が、その文言上一義的明確に定められていることが望ましく、この点で、所得税法が、本件事案のような場合を具体的に想定して規定していないため、やや明確性を欠くきらいがないではない。しかしながら、およそ法律というものは、現実に生起するあらゆる事案について二義を許さない程度に明確に定めることが不可能な場合もあり、租税法の分野においても、解釈により適用の不明確な部分を補充する必要が生じる事態は避けがたいというべきであるところ、本件事案に関する所得税法の適用に当たっては、前示のような解釈をとることが最も合理的であり、これをもって拡張解釈ともいえない以上、原告の右主張は採用できないといわざるを得ない。

(四) 以上のとおり、原告が本件外国法人に放映権料として支払った金員は、いずれも、映画の著作権の使用料として支払われたものということができる。

6  結語

以上のとおりであるから、原告が本件外国法人に支払った各金員は、所得税法一六一条七号ロの著作権の使用料ということができ、これを国内源泉所得に当たるとしてなされた被告の本件各処分は適法である。

第四結論

よって、本件訴えのうち、昭和五五年七月、九月、一〇月、昭和五六年六月、昭和五七年二月、五月、七月、八月及び昭和五八年八月分の各納税告知処分及び各不納付加算税賦課決定処分の取消しを求める部分は不適法であるから、これを却下することとし、原告のその余の請求については理由がないから、これを棄却することとする。

(裁判官 秋山壽延 竹田光広 森田浩美)

別表1

区分

年月分

納税告知処分

賦課決定処分

源泉所得税の額

不納付加算税の額

昭和55年6月分

300,833円

30,000円

55. 7

304,722

30,400

55. 8

1,161,158

116,100

55. 9

2,107,777

210,700

55.10

135,050

13,500

55.12

370,860

37,000

56. 5

3,695,000

369,500

56. 6

3,683,333

368,300

56. 7

1,605,730

160,500

56. 8

1,337,222

133,700

56. 9

1,864,643

186,400

56.10

63,722

6,300

56.12

3,387,413

338,700

57. 1

470,311

47,000

57. 2

65,291

6,500

57. 4

952,105

95,200

57. 5

65,347

6,500

57. 6

9,601,666

960,100

57. 7

1,429,444

142,900

57. 8

57,588

5,700

57. 9

1,901,250

190,100

57.10

74,847

7,400

58. 1

2,705,400

270,500

58. 4

1,033,500

103,300

58. 5

1,440,083

144,000

58. 6

521,666

52,100

58. 8

2,160,000

216,000

合計

42,495,961

4,248,400

別表2〈省略〉

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